いま見ても驚かされるデザイン
2024年3月13日、イタリアの名デザイナーであるマルチェロ・ガンディーニが死去、85歳でした。多くのクルマ好きを魅了したエクステリアデザインは、令和の時代になっても評価される傑作ばかりです。 AMWでは、ガンディーニがデザインした名車の中から10台を選りすぐって紹介します。
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ベルトーネのチーフデザイナーだった
ここのところ、各界の著名人が亡くなって寂しい限りだ。芸能関係はとくに昔から見ていた人が亡くなることも多くて、思い出とリンクするだけに、なおさら悲しかったりする。そんなときに、われわれクルマ好きにおいても、悲報が飛び込んできた。それが、マルチェロ・ガンディーニが亡くなったというニュース。
ピニンファリーナ、ジウジアーロと有名カロッツェリアはあるものの、ガンディー二はベルトーネでチーフデザイナーを務めたあと、組織に不満で1979年に退社してからはフリーで活躍しているのも珍しいところで、それゆえ、さまざまなメーカーのクルマをデザインしているし、そのテイストはまさに奇才の名にふさわしい。では、代表的なモデルを紹介していこう。
ランボルギーニ カウンタック(1973)
言わずとしれたスーパーカーブームの巨塔。直線を採り入れまくりの未来感あふれるデザインは今見ても新鮮というか、理解不能だ。ウラッコ、シルエット、エスパーダなど、ランボルギーニは大量にデザインされている。
ランボルギーニ ミウラ(1966)
カウンタックよりも先に出たが、スーパーカーブーム当時はカウンタックありきで、あとでミウラもガンディーニデザインと知るパータンが多かった。直線を採り入れた宇宙船的なデザインが得意かと思いきや、流麗なデザインもできると知って、その懐の深さには感嘆した。
ランボルギーニ ディアブロ(1990)
スーパーカーブームが終わったらお呼びでない? と思いきや、ディアブロのデザインもガンディーニだった。正確にはプロトタイプで、当時のランボルギーニの親会社GMのデザイナーがイジってしまったのは残念だが、全体の雰囲気はやっぱりガンディーニデザインだ。
フェラーリ ディーノ308GT4(1973)
名車ディーノ246の後継車として登場したのがこちら。「じゃないほうのディーノ」と呼ばれたりするが、ベルトーネ時代のガンディーニの作品。フェラーリと言えばピニンファリーナだけに、ほかとは違ったデザインで、やはり直線基調だ。それゆえどこかランボルギーニっぽく、それもあってかガンディーニがフェラーリをデザインしたのはこれだけ。
アウトビアンキ ランナバウト(1969)
アウトビアンキというとA112やY(イプシロン)を思い浮かべるが、こちらはデザインプロトタイプで、最終的にフィアットX1/9となる。シルエットが似ているかな、程度だったのを市販化。市販モデルについてもガンディーニ主導で行われたという。
ランチア ストラトスHFゼロ(1970)
こちらもプロトタイプモデルで、ガンディーニデザイン全開の宇宙船のようなシルエット。実際に走行可能で、現在も存在している。ランチア ストラトスとして市販化されたのは有名だ。
アルファ ロメオ モントリオール(1967)
数は少ないものの、アルファ ロメオもデザインしていて、代表作はモントリオールだろう。アルファ ロメオのテイストにスーパーカーのエッセンスをさりげなく入れているあたりのセンスはさすがだ。
ルノー 5(1984)
スーパーカーのような飛び道具的なデザインの印象が強いものの、実用車をデザインさせても才能全開というのを知らしめたのがサンクだ。直線基調の台形シルエットはコンパクトカーの新たなる可能性を示した。
シトロエンBX(1983)
実用車かつ日本でもヒットしたという点で注目なのが、こちら。直線のみで構成されたボディシルエットは超未来的で、Cピラーに付くダクトの処理などは往年のスーパーカーのエッセンスも垣間見られるなど、常人には理解しがたいデザインではあった。それゆえに斬新でヒットしたとも言える。
シボレー テステュード(1963)
アメ車もデザインしていて、こちらはデザインプロトタイプとなる。アメ車自体、憧れもあるのか、イタリアンカロッツェリアにデザインを依頼した例はけっこうある。コルベット的なシルエットで、丸みを帯びたラインが特徴。カメのようなので車名はラテン語で亀を意味する単語となっている。ベルトーネ時代の作品で、同社が倒産したため、このテステュードやすでに紹介したゼロなどが続々と競売にかけられているのは寂しいところ。
* * *
以上、主な所をかいつまんで紹介してみた。このほかにもガンディーニらしいデザインのクルマたちはたくさんある。あまりのアクの強さから1990年代以降はカーデザインではあまり作品を発表しておらず、電車やトラックを手がけていた。また、日本車をほとんど手がけていないのも、そのデザインエッセンスゆえか。いずれにしても奇才であり、巨匠でもあるガンディーニが亡くなったのは残念である。
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